スティーブン・キングの日本未発売新刊"11/22/63"

 まだ翻訳されてないスティーブン・キングの新作です。ブログ公開までに発売されちゃったらドヤ顔できないよ〜とハラハラして読みました。3月にフランスに行った時もパリのフナック(フランスの紀伊国屋みたいなお店。家電も売ってる。)でも平積みにしてキャンペーンしてたので、世界的に話題と言っても過言ではないのでは…?

 スティーブン・キングは”シャイニング”に代表されるホラー小説から”スタンドバイミー”のような少年時代への郷愁を呼び起こすような小説まで幅広い作風で知られる現代アメリカを代表する作家の一人で、”グリーン・マイル”や”ショーシャンクの空に”といったブロックバスタームービーの原作でも知られています。

 この"11/22/63"は高校教師ジェイクが1958年にタイムスリップしてケネディ暗殺を阻止するという筋です。これだけ読むと微妙な感じがしますがそこはキング、非常に緻密な描写でぐいぐいと読者を引き込んで離しません。この小説は過去への郷愁を感じさせかつSFやホラーの要素も併せ持つ、まさにスティーブン・キングの全てといった感じです。

 我々日本人にとってケネディ暗殺というのは、リベラルで人気者の大統領がイカれた男に暗殺された(FBIと軍産複合体の陰謀で殺されたという陰謀説もありますが)悲劇で、それ以上でも以下でもありませんが、アメリカ人にはそれ以上の大きな意味を持つ出来事のようです。もしケネディが暗殺されなかったらベトナム戦争があれほどまでに泥沼化しなかったかもしれないからです。ちなみにベトナム戦争では6万人のアメリカ軍人が戦死し、なんとこの戦死者数は第二次大戦の5分の1にも達します。

 話を"11/22/63"に戻します。主人公のジェイクは1958年にタイムスリップして1963年のケネディ大統領暗殺”未遂”まで5年間過去の世界(the world of past)に留まりますが、同じ職場に勤めるサディーという女性と恋に落ちて婚約します。このサディーとの関係がどうなるのかが物語の大きなポイントなんですが、非常に美しいラストが待っているので是非読んでいただきたいです。

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<追記 2013/9/30>

邦訳も出ました。