その車離れは真実か?

国交省幹線旅客流動調査というのが偶然twitterで流れてきて面白かったのでまとめてみた。
ちなみに、幹線旅客流動とは都道府県をまたぐ移動で、かつ通勤・通学目的以外の移動をいう。たとえば神奈川のベッドタウンから東京の職場に通学するとか、都内に住んでいる人がスカイツリーに遊びに行くといった移動はカウントされない。

-まとめ

自家用車75%、鉄道18%、航空機5%。
300km未満の移動では自家用車が8割以上を占めて圧倒的、300〜500kmで自家用車と鉄道が拮抗、500〜700kmでは鉄道が7割で自家用車と航空機が15%ずつ。700〜1000kmでは航空機と鉄道が半々、それ以上だと航空機が圧倒的。

予想以上に日本が自家用車に依存していることがわかってびっくり。車離れ車離れといいつつ一貫して自動車の割合が増加している。なんと2005年と2010年の間で自動車のシェアが7ポイントも上昇している。
さらに言えば、2010年から5年後の次回調査までに開通する主な高速道路はメジャーなものだけで、
道東自動車道(全線開通予定)
常磐自動車道(全線開通予定)
首都圏中央連絡自動車道(ほぼ全線開通する予定)
東名高速道路(御殿場-豊田東)
舞鶴若狭自動車道(全線開通予定)
東九州自動車道(ほぼ全線開通する予定)

などがあり、その他にも地方と地方を結ぶ高速道路やバイパスが山のように開通する予定(http://ja.wikipedia.org/wiki/2015%E5%B9%B4%E3%81%AE%E4%BA%A4%E9%80%9A)。

一方鉄道の新規開業は、
九州新幹線の全線開業(2011年)
北陸新幹線の長野-金沢(2014年)
北海道新幹線新青森-函館(2015年)

のみ。
次回(2015年)調査で自家用車のシェアがさらに上昇するのは確実と思われる。

フランス、イギリス、アメリカのデータも載ってる。フランスは日本に比べて長距離での自家用車移動が多く航空機移動が少ないイメージ。イギリスは全体的に移動距離が短めで航空機移動が多い。アメリカは800〜1600kmという超長距離においても自家用車移動が半分もある。
日本は鉄道利用が桁はずれて多いと思ってたけど、そんなこともなく300km以下の移動ではむしろイギリス、フランスよりも少ない。


-車離れ?
都道府県をまたぐ幹線輸送では自動車のシェアは漸増傾向にあり、「車離れ」には疑問符が付く。今回のデータからは読み取ることはできないが、もし「車離れ」現象が起こっているとすれば、東京や大阪といった大都市圏内間輸送に限ったものであると考えられる。
「車離れ」は当然のこととしてメディアなどで騒がれているが、もしそれがデータを伴うことなくキャッチフレーズ的に独り歩きしているんだったら交通政策を歪める可能性があると思う。東京のマスコミ・業界人周りにいる若者の間で車離れが進んでいるからと言って、それを無条件に全国民的な現象だと考えるような近視眼的なマスコミ人が大手を振っているとは考えたくないけど、どうもそれに近い現実がある気がしてならない。