私と車

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手前は知らない誰かのロードスター


街で車を観察するのが好きだ。エキゾチックなスーパーカー鎗ヶ崎の交差点近くにあるオートバックスの前に路駐されていた黄色のレクサスLFAを見たときは本当に興奮した。)や昔実家ににあった車(特に初代のステップワゴン。20年以上前の車にも関わらず、いまだにたまに走っている。)などを見つけるとテンションが上がる。日本では下取り価格の関係で、白と黒が圧倒的だが、綺麗なボディカラーの車も好きだ。かの伝説の自動車番組であるトップギアで、ランチアモンテカルロが特集されていたが、そのターコイズブルーのボディカラーに目が釘付けだった。

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ランチアモンテカルロwikipediaから引用。

モータースポーツのファンだったり、車のメカに詳しい理系的なタイプではなく、パッと見でカッコイイ車が好きなだけなので、人にはあまり「車が好き」と言ったことはない。マニアックな話を期待されて失望されたくないからだ。

初めての車は、大学生の時に祖母に買ってもらった中古の初代マツダ・アクセラだった。本当は2代目のアクセラが欲しかったのだが、3桁万円以下で買える個体がなかったので、40万円で買える初代になってしまった。激安の中古車でカーナビも装備されていなかったが、動力性能には全く不満はなく、むしろ高速道路でスピードが上がるほど安定した走りを見せてくれた。車高が低いのでスピード感があるのも気に入っていた。見た目に関しては、特にリアが最高で、これを超えるハッチバック車は無いと思う。そして、車齢が15年を超えても大きな不具合はついぞなかった。

初期研修医を修了する春、同期の知花(仮名)の引越しを手伝うことになった。我々が初期研修をした病院と、彼が4月から勤務する病院を数往復しただろうか。最後の荷物を彼の新しい寮に届け終わって出発するとき、金属が擦れるゾッとする音が車内に響いた。駐車場と通路の境界に置かれていた直径30cm大の石製のオブジェに、車のサイドシルの部分を削られた音だった。

実はその直前、新しい車(とは言ってもディーラーで試乗車として使用されていた中古車だが)に乗り換えることが決まっていた。車齢が15年を超えていたアクセラの車検を通すためには、光量が不足したライトの交換が必要で、20万円以上かかるため、思い切ったのだった。当初はマツダCX-5を考えていたが、思ったより車幅があり、駐車場の関係で3代目アクセラの1.5Lディーゼルモデルにした。当初は15万円で下取りをしてもらえる予定だったが、サイドシルの傷のせいで0円になってしまった(ディーラーの担当者は廃車費用を請求することもできるが0円でいいと、あくまで恩着せがましかった)。その後病院で知花と会ったとき、優しい彼は「アクセラは俺も好きな車だから悲しいよ」と弔ってくれた。

乗り換える前は初代アクセラにずっと乗ってもいい、などと思っていたのだが、カーナビ、バックモニター、車線変更時に並走車を警告する装置、自動ブレーキ、オートクルーズドラレコなどのハイテク装備に慣れると、もう後戻りなど考えられないのだった。